「おみやげ」と「おみあげ」の違い、正しいのはどっち?意外な語源も

ことば

 

日本の文化に深く根ざす「おみやげ」という習慣。
しかし、「おみやげ」と「おみあげ」という言葉については、あまり意識して使いわけてこなかったかもしれません。

この記事では、「おみやげ」の意味、使い方、そして、「おみあげ」との違いを掘り下げています。

 

「お土産」の語源は?

「土産」という漢字は、もともと「その土地の産物」を意味し、「とさん」や「どさん」と読まれていました。

一方、「みやげ」という読み方の語源については、広辞苑によると、「よく見て調べ、人に差し上げるもの」と記載されています。この「見上げ(みあげ)」という表現が時代を経て、「みやげ」となりました。

実は、「土産(みやげ)」は「見上げ(みあげ)」という言葉に、「土産」という当て字を用いたものです。音と漢字で語源が異なるため、複雑な読み方が生まれた背景があります。

室町時代から「土産」を「みやげ」と読むようになり、現代の辞書では「みやげ」の表記のみが正式な形とされています。
「みあげ」という表記は 現在では使われていません。

こうした経緯などから、語源は確かに「おみあげ」といわれていますが、現在では「おみやげ」が正解になります。

 

お土産の始まりは「お伊勢参り」

昔は、多くの日本人にとって「お伊勢参り」が一生に一度は達成したい夢でした。

しかし、お伊勢参りには相当な費用がかかり、そのために「お伊勢講」という集まりが生まれました。
「お伊勢講」では、メンバーから徴収したお金を集め、その資金で代表者がお伊勢参りを行い、参加できない人々の分も祈願してもらうというシステムが確立されました。

この習慣から、「宮笥(みやけ)」と呼ばれる神社で受け取るお札を貼る板が最初のお土産とされ、やがて 伊勢神宮周辺で特産物を販売する店が現れるようになりました。
これが「お土産の始まり」と言われています。特に有名なのが「赤福」で、これは お伊勢参りの代表的なお土産として親しまれています。

 

「おみやげ」を言い換えると?

「おみやげ」は、現代では
他の言葉でも言い換えられます

 

記念品

 特定のイベントや場所からの記念として持ち帰る品

贈答品

正式な贈り物としてのおみやげ

プレゼント(Present)

本来の英語では、親しい人の間における贈り物で、愛情や友情など気持ちを込めた私的な意味合いが強い

ギフト(Gift)

「present」よりもフォーマルでかしこまった表現。値打のある贈り物・寄付などの表現に用いられる

 

立場や状況により表現が変わる

おみやげを受け取った際の呼称は、「頂き物」とか「贈り物」などと 一般的には表現されます。
これは、贈り手の気持ちを尊重し、感謝を表する際に用いる言葉です。

そもそも、日本の贈り物には「状況に応じて名目の区別がある」ということが分かると思います。
〝進物〟を例としても、本来の意味である「上位の者への贈り物」ととして、似たような言葉に「献上品」や「進上品」、または「貢物(みつぎもの)」などがあります。

こうした多表現の影響で 細かな表現ができる一方、分かり辛くなったり、混乱を招く要因だったりもします。

 

お土産と「手土産」の違い

「お土産」と「手土産」は
よく混同されがちですが、

使用場面には違いがあります

 

「お土産」

旅行や出張などの際に身近な人などへ配る目的で、〝その土地の産物〟のこと。自分の生活圏を出た旅行先や遠方への外出先で手に入れた物のことを指し、身近な人(多数)たちに配ることを主な目的としています。

相手への日ごろからの感謝や、頂き物への返礼・お返し、といった意味を込めるのがお土産を配る理由です。

「手土産」

一方で、「手土産」は、あくまで訪問時に持参する礼儀正しい品として用いられる言葉です。訪問者の地元地域(生活圏内)にちなむ物を贈るのが一般的です。
訪問先で土産品を調達することは「準備していない」とみなされる場合もあるため 失礼にあたります。

訪問させてもらう事へのお礼や感謝の気持ちといった意味を込めるのが、手土産を持参する大きな理由です。

 

お土産の渡し方

「気に入ってもらえると嬉しいです」

というような軽やかで思いやりのある

言葉を選ぶと良いでしょう

包装・のし紙の利用

贈り物は適切に包装し、場合によっては のし紙を使用して正式な場にふさわしい形にします。
のし紙には贈る相手の名前や状況に合わせた言葉を記入します。

渡すタイミング

贈り物は、訪問の始めか終わりに渡すのが一般的です。急いで渡すのではなく、適切なタイミングを見計らいます。

一言添える

贈り物を渡す際には、「これ、気に入っていただけると嬉しいです」や「少しですが、お気持ちです」といった謙虚な言葉を添えることが礼儀とされています。

直接手渡しを心掛ける

可能であれば、直接手渡しをすることで、相手への敬意を示します。郵送の場合は事前に連絡を入れ、受け取りやすいよう配慮します。

相手の反応を見る

贈り物を渡した後、相手の反応を見て適切な対応を心掛けます。喜ばれた場合は共に喜び、遠慮された場合は無理強いしないよう注意します。

 

まとめ

おみやげは、単なる物の交換以上の意味を持ち、それを通じて人々は感謝や敬意、そして文化を共有しています。
意味が重複したり、立場によって表現が変わったりするので、日本語の難しさを改めて感じたりもします。

また、渡す際は、相手に対する敬意を示し、より良い関係を築くことができます。贈り物は単なる物の交換ではなく、心を伝える大切な手段であると心得ましょう。

この記事が、おみやげの豊かな文化的背景とその使い方の理解の一助となれば幸いです。

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