夏になると、あの嫌な羽音を立てて飛び回る「蚊」が気になりませんか?蚊に刺されると不快なだけでなく、かゆみがひどくて日常生活に支障をきたすこともあります。
そんな時に役立つのが、独特の香りと渦巻きが特徴の「蚊取り線香」です。その効果はどの程度なのでしょうか?また、蚊以外の虫にも効果があるのでしょうか?などの疑問を調べました。
蚊取り線香の仕組みと効果
蚊取り線香の効果は煙ではなく、煙に含まれる薬効成分によります。その主成分は「ピレスロイド」と呼ばれるものです。
「ピレスロイド」の元の成分である「ピレトリン」は、除虫菊という主に白い色をした菊に含まれています。蚊取り線香の発明のきっかけとなったのは、老舗メーカー「金鳥」の創始者が、アメリカから送られた除虫菊の種から発明したのが始まりとされています。
始めは 粉の状態でノミ取りとして使われていましたが、のちに棒状の蚊取り線香を開発。しかし、棒状では40分間ほどしか効果が持続できなかったため、1902年に渦巻き型の蚊取り線香の開発に成功し、それから販売されるようになりました。
現在では、化学合成された「ピレスロイド」が主流となっていますが、防虫菊を使用した製品も販売されています。
こうした成分が、蚊取り線香の独特の香りの元にもなっています。煙が立ち込めることで、蚊が寄り付きにくい環境を作り出します。
効果範囲と持続時間
一般的な蚊取り線香の効果範囲は、約6畳程度です。火をつけた瞬間から薬効成分が広がります。
火がついて赤くなっている1cmほど手前から蚊の殺虫成分(ピレトリン)が出ており、ピレトリンが気化して蚊を殺しているのが特徴です。
煙が蚊を殺すのではなく、ピレトリンの成分が蚊を殺しています。このことからピレトリンの濃度が濃い範囲では 蚊が死に、薄い範囲には 蚊が寄ってこない効果が期待できるそうです。
持続時間は、蚊取り線香の大きさや使用方法によって変わりますが、標準的なサイズであれば7時間程度と考えて良いでしょう。
ミニサイズや折って使う場合は、持続時間が短くなります。
蚊 以外の虫への効果は?
蚊取り線香の薬効成分は、他にも
小さな虫に対して効果を発揮します
・蚊
・小蠅
・小さな蛾
・カブトムシ
・鈴虫
特に 大きな虫には効果が低く、ゴキブリなどを退治することはできません。ただし、ピレスロイドには虫が寄り付かなくなる効果もあるため、ゴキブリなどの大きな虫が逃げ出すこともあります。
特にカブトムシに対して効果があることは意外かもしれません。カブトムシを飼っている家庭では注意が必要です。
人間やペットなどへの影響
蚊取り線香に含まれる「ピレスロイド」は、哺乳類の体内に入るとすぐに分解されるため、無害とされています。
そのため、赤ちゃんがいる部屋でも使用でき、犬や猫を飼っている家庭でも安心して使うことができますが、念のため 蚊取り線香を使う時は換気するか、屋外で使うようにしましょう。
一方、蚊取り線香を受け付けない体質の方は、何回も匂いをかげば慣れるということはないため注意が必要です。
また、昆虫や爬虫類、両生類、魚を飼っている場合も注意が必要です。これらの動物には神経を刺激する可能性があるため、別の部屋で使用するようにしましょう。
蚊取り線香の効果的な使い方
蚊取り線香を より効果的に使うための
ポイントをいくつか紹介します
風上で使う
蚊取り線香の効果範囲は約六畳程度ですが、風で薬効成分が流されると効果が薄まります。屋外よりも室内で使用する方が効果的ですが、閉めきった室内では煙が充満して息苦しく感じることもあります。
その場合は、窓辺やエアコンの近く、風上になる場所に置いて、薬効成分を室内に循環させましょう。また、薬効成分は熱で蒸発するため、高い所にいく傾向があります。
床などの低い場所に置くと、室内全体に効果が行き届きます。
玄関など入口で使う
全ての部屋で蚊取り線香を焚くのは非経済的で、匂いや煙の問題もあります。効果的に使いたいのであれば、玄関や大きな窓などの「外との出入口」に置くと良いでしょう。
玄関で使用することで、人の出入りが多くても蚊の侵入を防ぐことができます。
屋外で使う
屋外で使用する場合、蚊を退治するというよりは、香りで蚊を寄せ付けない効果を期待しましょう。
作業する場所に置くよりも、作業する人にぶら下げて使うのが効果的です。吊り下げ式の蚊取り皿を腰にぶら下げることで、常に薬効成分が届き、ガーデニング作業などに便利です。
最近では、アロマの香りの蚊取り線香も登場しており、リラックス効果も期待できます。従来の香りが苦手な方でも、こうしたアロマ蚊取り線香であれば、快適に使用できるでしょう。
安全性の向上と環境配慮
蚊取り線香の技術は進化しており、
最新製品には様々な工夫が施されています
煙が少ないタイプの蚊取り線香がさらに進化
煙による息苦しさが大幅に低減されています。
火災リスクを抑えた電気式蚊取り線香も改良
安全性がより高く、長時間 安定して効果を発揮します。
環境に配慮した製品が増加
天然素材を使用した蚊取り線香は、化学合成されたピレスロイドに比べて環境負荷が低く、自然派志向の方に人気です。
香りも優しく、リラックス効果が期待できるため、リビングや寝室などで使用するのに適しています。
まとめ
さまざまな種類の蚊取り線香があるので、自分のライフスタイルや使用環境に合わせて選ぶことが大切です。
夏の風物詩として長く親しまれている蚊取り線香は、その効果を最大限に引き出すために正しい使い方を知っておくことが重要です。
どうしても「蚊取り線香が苦手」という方は、蚊取り線香以外にも レモングラス、シトロネラ、ユーカリ、ゼラニウムなども蚊を寄せ付けない効果があるといわれています。
これらを上手に活用して、快適で虫知らずの夏を楽しみましょう。